保育園と幼稚園の違いとは?入園のタイミングは?費用や学力差を比較
保育園と幼稚園の違いとは?
保育園と幼稚園の大きな違いとして挙げられるのは、管轄が異なる点です。
保育園は、厚生労働省が管轄している「児童福祉施設」となり、幼稚園は文部科学省管轄の「教育施設」となっています。それぞれ先生の取得免許も異なり、保育園は保育士資格証明書、幼稚園では幼稚園教諭免許状が必須免許となっています。
保育園とは?
厚生労働省管轄の児童福祉施設です。「保育所保育指針」に基づき、基本的な生活リズムに合わせて、食事や着替え、トイレトレーニングなどの生活習慣を身に付けることを目的として、年齢に合わせた保育を行っています(※1)。
保育園によって違いがありますが、0歳児~小学校就学前の乳児および幼児が入園することが可能です。
受け入れ月齢は園によって違うので、必ずチェックしておきましょう。平均的には生後4~6ヶ月から。早いところでは生後2ヶ月から受け入れてくれる園もあります。
保育園入園には「保育に欠ける事情」がある子供を対象としています。保育に欠ける事情とは、仕事や病気などで子供が家庭で保育できない状態のことを指します。各自治体によって、保育に欠ける事情の優先順位があるそうなので、住んでいる地域の保育園の入園条件を調べてみましょう。
保育時間は、原則として1日8時間と定められています。しかし、多くの施設では延長保育を実施しており、最長11時間の延長保育が可能となっています。また、認可保育園の場合は日曜、祝日以外は預かってくれることが多く、給食も義務づけられています。働くママにとっては心強く、多くの人が第1希望とする施設です。
幼稚園とは?
文部科学省が管轄している学校教育施設です。「学校教育法第三章第22条」より、「幼稚園はその後の教育の基礎となり、そのため幼児を保育し、健やかな成長のために適当な環境を与え、心身発達を助長することを目的」としています(※2)。
入園対象は満3歳~6歳までが対象になります。「2年保育」と「3年保育」があり、2年保育の場合は満4歳から、3年保育の場合は満3歳からの入園となっています。特に入園資格はありませんが、幼稚園によっては、入園テストや面接によって合否を決める場合もあります。
子供の社会性などを大切にする自由教育を中心とした「のびのび系幼稚園」や、しつけや早期教育にも力を入れている学校入学を意識した「お勉強系幼稚園」など、保育に対する考え方はさまざま。教育方針が合っているか、共感できるかは選ぶうえで大切なポイントになってきます。
標準的な保育時間は、9時~14時頃の4時間以上と定められています。1年間の保育日数も「39週を下回らないこと」と決められていて、夏休みや冬休みなどの長期休暇があります。給食は任意となっていますが、最近では食育に力を入れて給食を提供している幼稚園も増えているようです。
保育園と幼稚園でそれぞれかかる費用は?
保育園でかかる費用
認可保育園か無認可保育園かによって費用が異なります。
認可保育園の費用は、各自治体が独自に設定しており、世帯収入と子供の年齢によって費用が変わります。住んでいる地域によっても月々の負担額が変わってくるので、具体的な費用は、住んでいる地域の保育課へ確認してみてください。
国から認可を受けていない無認可保育園の場合は、国からの補助金がなく、各施設が独自で保育時間や保育料を設定できるので認可保育園と比較をすると高めに設定されていることが多いです。施設によってマチマチなので事前に調べておきましょう。
幼稚園でかかる費用
私立幼稚園なのか、公立幼稚園なのかで費用に大きな差が生じます。
文部科学省の「子供の学習費調査(※3)」によると、1年間の学習費総額が、公立幼稚園の場合約22万円、私立幼稚園は約50万円と2倍以上の差があることが明らかになりました。
また、バスでの送迎がある場合では料金がプラスになったり、お弁当が出るところは給食費がかかったりと、幼稚園によってさまざまです。
保育園と幼稚園で学力の差は出るの?
幼稚園は文部科学省が制定した教育施設であり、小学校に上がる前の子どもが教育を受ける場として位置づけられています。一方、保育園は子どもを預かる施設なので、幼稚園と比較すると学力に差が出るのでは、と不安視されがちです。
しかし、最近はそれぞれの良いところを吸収して、園に反映させている傾向があるようです。保育園でリトミック教育を取り入れたり、幼稚園で自由に遊ぶことを軸としている指導方針だったりと、内容はさまざま。
保育園だから幼稚園だからという決まりは今はなく、園によって指導方針が違うので、よく比較してみるのが良いでしょう。
保育園と幼稚園のメリット・デメリット
保育園と幼稚園のどちらに通わせるか悩んでいるパパやママは、両方のメリット・デメリットを比較しましょう。
保育園に通うメリット
1.長時間預けることができる
共働きの夫婦にとって、子供を長時間預けられる保育園は最大のメリットですよね。早朝保育や延長保育を利用すると、7時~19時頃まで預かってもらうことができます。保育園によって保育時間が違うので、確認しておきましょう。
2.0歳児から受け入れ可能な保育園がある
保育園の場合、0歳児から預かってくれるところが多く、早くて生後2ヶ月から預けることができます。0歳から保育園に入れられると、スムーズな産後の仕事復帰が可能ですよ。
3.給食が完備されている
保育園は給食が義務化されているため、毎日栄養バランスの考えられた給食が提供されます。毎朝お弁当を作らなくて良いのは、忙しいママにとってうれしいですね。その他におやつや夕方の捕食が用意されることも。
4.身の回りのことが自分でできるようになる
家ではママが着替えやトイレなど手伝ってくれますが、保育園ではそうはいきませんよね。集団生活の中で、周りの子供たちの刺激を受けながら、自分のことは自分でやる習慣が自然と身に付きます。
保育園に通うデメリット
1. 親子で過ごす時間が短い
1日のほとんどを保育園で過ごすため、幼稚園と比較すると親と過ごす時間が短くなります。甘えたい時に親がいないので、子供は寂しさを感じることが多いかもしれません。
2.子供の「初めて」を見逃すことがある
子供の日々の成長は、親にとってとても大きな喜びですよね。しかし、早い時期から保育園に預けると、初めてのハイハイ、初めてのつかまり立ち、アンヨなどを見逃す可能性があります。子供の「初めて」を見ることができないのは、少し寂しいですね。
3.病気にかかりやすくなる
長い時間友だちや先生と一緒に保育園で過ごしているため、家庭にいる時よりも感染症などの病気にかかりやすくなります。ただし、年齢と共に免疫や体力もついてきます。忘れずに予防接種も事前に受けておきましょう。
幼稚園に通うメリット
1.親子で過ごす時間が長い
保育時間が短いので、親子で過ごす時間をしっかり確保したい人は幼稚園がおすすめです。公園で遊んだり、夕方一緒に買い物に行ったりできますよ。また、夏休みや冬休みなどの長期休暇もあるので、旅行や思い出作りなどたっぷり触れ合って遊ぶことができます。
2.学習習慣が身につく
幼稚園は教育施設なので、椅子に座って過ごす時間が多いです。そのため、小学校入学前に椅子に座って机に向かう、人の話を聞く、集中して何かに取り組むなど、学習習慣が身に付きます。
3.習い事に通わせやすい
幼稚園が終わってから時間があるので、何か習い事をさせたいと考えているパパやママには幼稚園が良いでしょう。ピアノ教室やサッカー教室など子供が習いたい教室も、通いやすくなりますよ。
幼稚園に通うデメリット
1.長時間預けられない
幼稚園の標準保育時間は、朝9時~14時頃の4時間以上なので、ママがフルタイムで仕事をするのは難しいでしょう。しかし、最近は延長保育を可能とする「預かり保育」を実施している幼稚園が増えているようです。
文部科学省によると「全国の幼稚園82.5%(公立60.9%、私立95.0%)で預かり保育が実施している」という報告があります(※4)。
2. 食べ物の好き嫌いが直りにくい可能性がある
多くの幼稚園がお弁当持参なので、子供の好きな食べ物ばかりを入れてしまいがち。そのため、小学校の給食のときに苦労するというママもいるそうです。幼稚園の頃から栄養バランスを考えたお弁当にして、あまり好き嫌いがないようにするのが大切ですよ。
3. 参加行事が多い
幼稚園は保育園と比較すると行事が多いので、自然と親の参加も増えるでしょう。係決めやお遊戯会での親の出し物の準備など、参加行事が多いことに悩んでいるママも少なくありません。
また、下の子がいても行事に参加しなければならないので、まだ首も据わっていない子供がいるママは、より大変さを感じるかもしれません。
保育園か幼稚園を選ぶタイミングは?
保育園を探すタイミング
認可保育園を探す場合、各市区町村の保育課で申し込み手続きを行います。基本的に入園の受け入れは随時おこなわれています。4月入園を希望する人は、前年度の11月末頃までに申し込みましょう。結果が出るのは2~3月頃となります。
無認可保育園の場合は、直接保育園へ申し込みます。いつでも申し込みを受け付けている園がほとんどですが、すでに定員に達しているときなどは受付が終了している場合があります。各園に直接問い合わせをして、最新状況を確認してくださいね。
幼稚園を探すタイミング
幼稚園に入園させたい親は、まず2年保育か3年保育を決めましょう。園によって受け入れ体制が異なるので、早めに確認しましょう。
見学会や説明会は6~9月頃に行われ、10月に入園願書の配布、11月願書受付という流れになります。人気の幼稚園はすぐに定員が埋まってしまうので、注意してください。その後、入園の選考があり合否が決定します。
保育園と幼稚園は家庭に合ったスタイルで決めよう
両親の働いている環境や生活スタイルによって、保育園にするのか幼稚園にするのか変わっていきます。教育方針や保育費など、保育園と幼稚園で比較できる点はいくつかあるので、ママとパパでしっかり相談して決めましょう。
また、自分の子供が園に馴染めるのかも大切なポイントです。どちらに入園させるのか決めたら、子供と一緒に見学に行くのも良いかもしれませんね。
※1 参考文献:厚生労働省 保育所保育指針
※2 参考文献:文部科学省 幼稚園教育要領 学校教育法(抄)第三章 幼稚園 第22条
※3 参考文献:文部科学省 平成26年度「子供の学習費調査」の結果について
※4 参考文献:文部科学省 平成26年度幼児教育実態調査 11.預かり保育に関する実施状況
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