ファミリーサポート制度とは?どんな時に何を頼める?トラブルが心配!
ファミリーサポートとは?どんな内容の制度?
ファミリーサポートとは、各自治体が設立・運営するファミリーサポートセンターが仲介をし、地域の「子育て援助を必要としている人」と「子育て援助をおこないたい人」がお互いを支え合う制度です。
厚生労働省によると(※1)、平成27年度実績で809の市区町村にてファミリーサポートセンター事業をおこなっています。住んでいる市区町村でファミリーサポート制度があるかどうかは、各自治体にお問い合わせください。
また、一般企業がベビーシッター等のサービスを提供しており、これを「ファミリーサポート」と呼ぶ場合もあります。
ファミリーサポートを利用できる対象者は?
子育て援助を受けたい利用会員(依頼会員)
子育て援助を申し入れる「利用会員(依頼会員とも呼ばれます)」の対象は、各自治体によって詳細な月齢・年齢は異なりますが、生後間もない赤ちゃん~小学生までの子供の保護者となる場合が多いです。
子育て援助をおこなう協力会員(提供会員)
子育て援助をおこなう「協力会員(提供会員とも呼ばれます)」は、18~20歳以上(高校生は不可)の育児援助に協力できる健康な人を対象としています。
ファミリーサポートではいつ・どんなことをしてもらえるの?
ファミリーサポートは、原則として、7~21時前後の間で利用することが可能です。
主に次のような、子供のお世話に関する範囲内で援助を受けることができます(詳細は自治体によってことなります)。
ファミリーサポート制度は家事代行サービスではないため、掃除や料理等の家事を依頼することはできません。
ファミリーサポートで受けられる子育て援助例
- 保育園や幼稚園、習い事への送り迎え
- 保育施設・学校の時間外等に子供を預かる
- 買い物や保護者のリフレッシュのために子供を預かる
- 保護者本人・家族の病気時や冠婚葬祭時に子供を預かる
- 子供の病後(病後:他人に預けても問題がない)の援助
ファミリーサポートで受けられない子育て援助例
- 病児の預かり*
- 掃除・洗濯・料理等の家事
- 子供の入浴
- 宿泊を伴う子供の預かり
- 兄弟・姉妹を除く、別世帯の複数の子供の預かり
- 徒歩・公共交通機関の利用を除く送迎(自動車等)
*一部自治体では、病児や早朝・深夜の預かりも実施しています。
ファミリーサポートの利用料金はいくら?
ファミリーサポートの利用料金は、一般的に1時間800円。早朝・深夜、土日の利用料金の平均は1時間1,000円前後です。
兄弟・姉妹を預ける場合、2人目以降は半額の400円となります。また、利用料金のほか、援助にかかった食費や交通費等の実費が発生します。
なお、当日キャンセルや無断キャンセルをした場合は、料金の1時間分や全額がかかります。ファミリーサポートが不要になったときは、できるだけ前日の決められた時間までにキャンセルをしてください。
ファミリーサポートを利用する手順は?
1.会員登録
ファミリーサポートを利用するときは、利用会員・協力会員共に、住んでいる市区町村のファミリーサポートセンターに会員登録をする必要があります。
妊娠中でも登録申し込みは可能なので、出産準備として事前に登録しておくのもよいですね。
協力会員は研修・講習会の受講が必須ですが、自治体によっては、利用会員も会員登録後に説明会への参加が必須となる場合が。
2.子育て援助の利用申し込み
具体的に依頼をしたい子育て援助の内容をファミリーサポートセンターへ連絡します。
ファミリーサポートセンター(アドバイザー)が仲介となり、援助内容にマッチする協力会員を探してくれます。
3.事前打ち合わせ
ファミリーサポートセンターから協力会員を紹介してもらえたら、事前に援助内容に関する打ち合わせをおこないます。
打ち合わせは子供同席のうえ実際に預ける場所でおこないます。
4.実施
事前打ち合わせにて両者間で合意できたら当日実施します。
5.料金の支払
ファイリーサポート制度の料金は、利用会員から協力会員に直接支払います。
ファミリーサポートは会員同士がマッチングしない場合も
ファミリーサポートは、援助を確約している制度ではないため、利用会員が多い市区町村ではすぐに協力会員が見つからず「待機」の状態になることが。
また、事前打ち合わせの際に、両社間で条件やスケジュール等が合意しないことも。
企業がおこなうサービスではないため、利用したいときに必ず利用できるとは限らないことを理解しておきましょう。
ファミリーサポートで事故やトラブルが起こらないか心配…
ファミリサポートは子育て援助を求めているママ・パパにとって、ベビーシッターなどよりも安い料金で子供好きな人がお世話をしてくれるためとても便利な制度です。援助内容に満足し、リピートして利用する人が多いです。
一方で、ファミリサポート制度で子育て援助をしてくれる協力会員は、特別資格を持った保育士などではなく、また自治体に雇われているわけでもありません。
協力会員の善意で成り立っている部分が大きいいため、援助の質には幅があり、トラブルや事故に巻き込まれる可能性がある側面も。
少し前の調査にはなりますが、厚生労働省の「ファミリー・サポート・センター事業の事故報告集計」によると(※1)、平成18年4月1日~平成22年6月21日の間、ファミリーサポート制度利用での事故は15件報告されています。
事故の内容は、子供の転倒や落下などによる、骨折、歯を折るなどの症状です。
もちろん、これらの事故等はファミリーサポート制度に限らず、他の保育施設やベビーシッターによっても起こり得る事象ではありますが、ファミリーサポートにもデメリットや危険が潜んでいることを理解しておくことが必要です。
ファミリーサポートを利用した人のトラブルやデメリット体験談
「‐協力会員の方の都合で、当日ドタキャンをされてしまいました。料金をお支払いするとはいえ、あくまでボランティアなことは理解はしていましたが、ファミリーサポートを利用して子供を預ける予定だったので、予定が狂いトラブルとなってしまいました」
「‐協力会員の方には本当にいろいろな人がいるので、中には、『自分の家事を優先する』という人や、子供の一時預かりをお願いしても『小学生の子供(協力会員の子供)が相手をする』といった人まで…。事前打ち合わせで条件をきちんと確認しておくことをおすすめします」
「‐ファミリーサポート制度では、基本的に自宅近くの人がマッチングされるため、ご近所付き合いに発展してしまうことが。その後も円滑な近所付き合いをしていきたいと考えると、援助内容に不満や要望があっても強くいえないことがあります」
「‐ファミリーサポートでは、時に申し込み予約から実施までに少し時間が掛かることがあり、お葬式や突発的な病気の際には少し利用しづらいと感じることがあります」
ファミリーサポートを賢く活用しよう
ファミリーサポート制度は、地域ぐるみで育児支援をしてくれる素晴らしい制度です。ベビーシッター等を頼むことを考えると、料金は安く経済的にも助かります。
一方で、ファミリーサポートは援助してほしい人・したい人、会員同士で「支え合う」考えのもとで成り立っているため、トラブルやデメリットも存在します。
ファミリーサポートを利用する際には、メリットとデメリットの両方を理解したうえで申し込みをし、事前面談では不明点や不安な点をクリアにしておきましょう。
ファミリーサポートを賢く活用して、育児と仕事との両立やママ・パパのリフレッシュに役立ててください。
※1 参考文献:厚生労働省 ファミリー・サポート・センター事業の事故報告集計