【助産師監修】乳頭マッサージのやり方、妊娠中から始めて母乳育児に備えよう
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乳頭マッサージとは?
乳頭マッサージは、乳頭や乳輪部に手指で刺激を与えることで、皮膚の固さを取り、伸縮性や弾力性をよくします。乳首がやわらかくなると、赤ちゃんが乳首に吸い付きやすくなり、上手におっぱいをのめるようになります。
また、乳頭マッサージによって皮膚が強くなるため、赤ちゃんが乳首を吸う刺激で乳頭が切れる、ひび割れるなどの乳頭亀裂の症状を予防することが可能です。
乳頭マッサージは乳管開通、乳腺炎のケアにも
乳房で作られた母乳は、乳管を通って外部へ出されます。しかし、乳管が詰まっていると、母乳が乳房に溜まってしまうことで、固く腫れ上がり痛みや発熱を伴う「うつ乳」になり、症状が悪化すると「乳腺炎」に繋がってしまうことも。
乳管の詰まりをチェックし乳管を開通するためにも、乳頭マッサージが効果的です。ただし、乳腺炎は乳頭マッサージだけでは改善できないため、悪化する前に病院を受診しましょう。
乳頭マッサージはいつから始める?
乳頭マッサージは、授乳中だけでなく妊娠中から始めましょう。開始時期は、妊娠中期の後半~妊娠後期に入ってからが目安となります。
慣れないうちは痛みを感じるので、最初から力を入れ過ぎず、少しずつ乳頭や乳輪部を圧迫することから始めましょう。
早い人だと、妊娠中期以降に乳汁がにじんだり、乳首に乳汁カスがついていたりすることがあるので、ボディオイルや乳頭クリームを使った乳首のケアから始めてもよいですね。
母体が安定していない妊娠初期は控えよう
妊娠初期はまだまだお腹の赤ちゃんも母体も安定していない時期なので、焦らなくて大丈夫。敏感な時期でもあるので、乳頭マッサージは避けましょう。
また、妊娠中期~後期も、切迫早産など妊娠経過に心配を抱えている人は、事前に医師や助産師に相談するようにしてください。妊娠経過に問題がない妊婦さんも、お腹の張りを感じるときは乳頭マッサージは控えましょう。
乳頭マッサージのやり方
乳頭マッサージは皮膚がやわらかく、身体の血行がよくなっている入浴中やお風呂上がりにおこないましょう。
清潔な手を使い、爪で乳頭を傷つけないように気を付けてくださいね。
ボディオイルやボディクリームを使用すると摩擦を抑えてくれるので、乳頭マッサージがしやすく皮膚がやわらかくなりやすいですよ。妊娠中は妊娠線予防ケアに使っているボディクリームで大丈夫。
授乳中は、赤ちゃんが舐めても安全な乳頭クリームを使うとよいでしょう。授乳をおこなう前に、乳頭マッサージで乳頭や乳輪部をあらかじめ揉みほぐしておくと、乳首がやわらかく赤ちゃんもおっぱいを吸い付きやすくなります。
乳頭圧迫
- 片方の手でおっぱいを支える
- もう片方の手の親指、人差し指、中指の3本の指で乳輪部をつまむ
- 3~4秒くらい(乳頭が固いときは5~10秒、少し長めに)かけて乳頭の先端をつぶすように圧迫する※
- 圧迫する位置を変えながら、左右合わせて1分程度圧迫する
※ワンポイントアドバイス
乳頭を圧迫するときは、つまんでいる指が白くなるくらいの力加減で。慣れないうちは痛みを感じるので、徐々に力を入れていきましょう。
乳頭のもみずらし
- 上記の乳頭圧迫を十分におこなってから、同様に片方の手で乳房を支えつつ、もう片方の手の親指、人差し指、中指の3本の指で乳輪部をつまむ
- 乳頭の先端に向かって、指を左右交互にひねりながら縦方向にもみずらしをする※
- 次に、乳輪部・乳頭をつまみ横方向にもみずらしをする
- 左右合わせて1~2分程度もみずらしをする
※ワンポイントアドバイス
縦方向のもみずらしは「こより」をつくるようなイメージでおこないます。
乳頭マッサージで乳管の詰まりをチェックする方法
授乳中に乳頭マッサージをしているとき、乳頭や乳輪部に固い部分があったり、強い痛みを感じたりする場合は乳管が詰まっている可能性があります。
乳頭の付け根部分をつまんだときに、母乳が放射状に飛び足したら乳管は開通していますが、今まで出ていた母乳が出ない・数本しか飛び出さない場合は要注意です。
なお、乳腺炎が疑われる場合、誤ったおっぱいマッサージによる刺激は、さらなる詰まりや炎症を引き起こす可能性があります。母乳外来や母乳相談室で専門家に相談しましょう。
妊娠中からの乳頭マッサージで母乳育児に備えよう
特に初めての母乳育児では、乳頭・乳房のトラブルが起きやすいもの。妊娠中から乳頭マッサージを始めることで、固い乳頭がやわらかくなり、スムーズに母乳育児に備えることが可能です。
授乳中も乳頭マッサージを続けることで、乳管の詰まりをなくし、乳腺炎などの乳房トラブルを予防することができます。乳頭圧迫や乳頭のもみほぐしといった乳頭マッサージは、ひとりでも簡単に自宅でおこなえるため、ぜひ取り入れてみてください。
なお、母乳分泌を促すためのおっぱいマッサージについては、誤ったやり方で続けている人が少なくないため、母乳外来などで助産師に相談しましょう。