無痛分娩とは?リスク・デメリットから費用、流れや体験談まで

お産の痛みは男性には耐えられないといわれていますが、当然女性にとってもその痛みは計り知れません。無痛分娩は痛みや不安、ストレスという神経興奮を軽減し高血圧のリスクを抑え、お産をスムーズに進行するための方法です。昨今話題になっている無痛分娩のリスクやデメリットから、気になる費用、出産までと当日の流れ、実際に無痛分娩を経験したママの体験談までをまとめました。

※無痛分娩の実際の方針や麻酔方法、費用、申し込み方法等は、病産院によって異なります。詳しくは、かかりつけの産婦人科にお問い合わせください。

無痛分娩とは?

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「無痛分娩」といっても、手術時の全身麻酔のようにすべての感覚がなくなってしまうわけではないため、完全に痛みを感じないものではなく、「痛みを和らげる」方法です。

アメリカやフランスといった欧州では、全体の出産のうち約85%が無痛分娩である反面、日本における無痛分娩は約5%(自然分娩が約75%、帝王切開が約20%)だといわれています。

このように、今日の日本における無痛分娩は世間的に浸透しておらず、周囲からの理解が得られないことも少なくありません。

しかし、無痛分娩による分娩時の痛みや不安、ストレスを軽減することは、神経興奮による高血圧を防ぎ、お産を安全にスムーズに進行するためのひとつの方法です。主に、次のような妊婦さんに適しているといえます。

  • 妊娠高血圧症候群を発症している
  • 痛みに弱い
  • お産への不安・恐怖心が強い

無痛分娩でも意識ははっきりとしており、陣痛に合わせていきむことができるため、痛みを軽減しながらも、自力で出産をして赤ちゃんを出産した感動や喜びを感じられるのも無痛分娩のメリットでしょう。

無痛分娩と和痛分娩の違い

病産院によっては、無痛分娩が「和痛分娩」と表記しているところがあります。

一般的には、硬膜外麻酔を使用する方法を無痛分娩、呼吸法や筋肉注射等で痛みを緩和する方法を和痛分娩といわれますが、実は明確なガイドラインはありません。

「痛みを軽減する」という意味では同じですが、麻酔や費用、リスク等は病産院の方法や方針によって異なるため、かかりつけの医師に相談しましょう。

無痛分娩は安全なの?リスクは?

医師 注意 点 リスク 副作用

無痛分娩では、一般的に背中(腰)の脊髄の近くにある硬膜外(こうまくがい)に細いチューブ(カテーテル)を入れて麻酔薬を注入します。

麻酔薬による赤ちゃんへの影響は、研究結果によると多少の違いはみられるものの、現在ではほとんど問題がない範囲と考えられています。

ただし、麻酔によってママが上手にいきめないことがあるため、その場合は、医師による判断で、陣痛促進剤の投与や、腰部圧迫、吸引分娩、鉗子分娩(かんしぶんべん)などで対応することがあります。

硬膜外麻酔による副作用のリスク

また、無痛分娩時の麻酔によって、下記のようないくつかの副作用のリスクがあります。なお、無痛分娩・自然分娩を問わず、妊娠そのものによる症状も含まれています。

  • 赤ちゃんの心拍低下
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 血圧低下
  • おしっこの出が悪くなる
  • 皮膚のかゆみ

硬膜外副作用による合併症用のリスク

重症な合併症ほど頻度は少ないものの、以下のような合併症は100%予防できるものではないとも考えられています。不安な点はかかりつけの医師に相談しましょう。

  • 神経障害
  • 髄膜炎
  • 硬膜外脳腫
  • 局所麻酔薬中毒
  • 全脊麻
  • 頭痛
  • 腰痛

日本産婦人科医会による無痛分娩を安全に関する提言

病院 カルテ

今般の無痛分娩による妊産婦の死亡事例を踏まえて、日本産婦人科医会では、2017年8月、無痛分娩を実施する医療機関に対して、出血や麻酔合併症等に適切に対応できる体制整備をするよう、提言することを決定しました。2017年8月末までに正式にまとまる予定です(当記事公開2017年8月初旬時点)。

同医会による提言で無痛分娩に言及するのは初の事象です。欧州と比較し、体制整備が不十分である日本における今後の無痛分娩の安全が、ますます確立されていくことが期待されます。

無痛分娩のメリット・デメリットは?

比較 メリット デメリット

無痛分娩派・自然分娩派、ママによってそれぞれの考え方や事情があるでしょう。客観的に捉えても、メリット・デメリットの双方があります。

無痛分娩のメリット

  • 痛みや不安、ストレスの緩和・軽減
  • 産道の筋肉がやわらかくなりお産がスムーズにいきやすい
  • 緊急帝王切開になったとき、既に麻酔薬を投与しているために手術に移行しやすい
  • 産後の体力の回復が早い

無痛分娩のデメリット

  • 完全に痛みがなくなるわけではない(麻酔のタイミング・痛みの感じ方には個人差がある)
  • 子宮収縮が弱まり陣痛が微弱になりやすい
  • (いきみが不十分な場合)腰部圧迫、吸引分娩、鉗子分娩の可能性
  • 母子の状態によっては無痛分娩を中止し自然分娩または帝王切開になる可能性
  • 病産院によっては、定められた時間・曜日でないと無痛分娩を受けられない
  • 硬膜外麻酔による副作用・合併症のリスク
  • 費用がかかる

無痛分娩の体験談

新生児 出産 ママ 体験

実際に無痛分娩を経験したママの体験談をご紹介します。※痛みの感じ方などは個人の感想です

-「私は痛みに弱かったことから無痛分娩に決めました。麻酔の注射も痛くはなく、出産時の痛みは生理痛の程度。出産直前まで夫と話ができるほどでした。仕事柄、急な休みを取れない夫も、計画無痛分娩のおかげで立ち会うこともできてよかったです」

-「第一子を産んだ時は自然分娩で出産直後はほとんど動けませんでしたが、第二子では無痛分娩を選択し、出産直後も我が子を平然と抱っこすることができました」

-「最初はリスクが気になりましたが、高齢出産で体力を温存したかったので無痛分娩にしました。第三子なので産後も上の子供たちのお世話ができて助かりました」

-「妊娠高血圧症候群にかかっていたため、医師から無痛分娩をすすめられました。無事に出産できたのは無痛分娩のおかげだと思っています」

-「麻酔をしてから陣痛が弱まりうまくいきむことができず、結局は帝王切開になってしまいました。いきんで産道を通る感覚を味わいたかったなとも思います」

-「計画無痛分娩を希望していたにもかかわらず、麻酔科医の先生の到着が間に合わず、麻酔を開始したときには、子宮口が大分開いていて、結果的に自然分娩とほぼ同じ状態で出産しました」

無痛分娩の費用はいくらぐらい?

費用 価格 値段 相場

無痛分娩の費用は、自然分娩時と同様の費用にプラス〇万円という表現をされます。具体的な追加料金は病産院によってまちまち。一般的には10~20万円前後の追加料金で無痛分娩を選択することが可能です。

病産院によって費用に差が大きく、その理由はサポート体制に違いがあるためです。例えば、24時間無痛分娩に対応している場合とそうでない場合や、その病産院の医師やスタッフの人員体制にもよります。

単純に無痛分娩にかかる費用が高ければ安全・危険というわけでもありません。

一般的には、前払いなどではなく退院時のお会計で費用を支払います。無痛分娩を希望していた場合も、出産日の状況で自然分娩等になった場合は、応じた費用が発生します。

無痛分娩のお産までの流れは?

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無痛分娩までの必要手続きは病産院によって異なりますが、多くの病産院では、無痛分娩を希望している妊婦さんには、無痛分娩に関する講習会・研修への出席が求められます。講習会・研修にて、無痛分娩の方法や麻酔のリスク等の説明を聞き、きちんと理解したうえで正式に申し込みとなります。

また、お産当日までの流れは、基本的に下記2つの分娩方法によって変わってきます。

  • 計画無痛分娩
  • 自然の陣痛を待つ

計画無痛分娩の場合

  1. 産科学的判断のもと、出産予定日を決める
  2. (基本的に)計画無痛分娩前日に入院
  3. 診察をおこない、必要性に応じて子宮口を広げる処置をおこなう
  4. 分娩当日、陣痛促進剤を注入する
  5. 医師・麻酔科医の判断のもと麻酔薬を注入する
  6. お産の進み具合によって麻酔を調節する

自然の陣痛を待つ場合

  1. 陣痛がきたら入院
  2. 医師・麻酔科医の判断のもと、子宮口がある程度開いたら麻酔薬を注入する
  3. お産の進み具合によって麻酔を調節する

無痛分娩が受けられる病院の探し方は?

病院 産婦人科 探し方 選び方

現在、全国において7割程度の病産院が無痛分娩に対応していません。無痛分娩を希望する場合には、基本的には事前に自身で対応している病産院を調べる必要があります。

日本産科麻酔学会(JSOP)のホームページにて、全国の無痛分娩施行施設を紹介しています。なお、情報が過去の可能性があるため、現在の無痛分娩の施行状況については、個々の病産院に直接問い合わせてください。

または、初診で訪れた産婦人科にて、他の無痛分娩対応の病産院を紹介してもらえる場合があるため、確認してみてくださいね。

無痛分娩は安全な出産をするための方法のひとつ。リスクはきちんと理解して

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無痛分娩に関して、肯定的・否定的、どちらの意見もあります。実際にメリット・デメリットの双方があることも事実です。他の国と比較して、無痛分娩が浸透していないことがその背景にあるでしょう。

無痛分娩とは、決してママが「楽に出産するための方法」ではなく、分娩中の陣痛を適切に軽減することは安全な出産を導くための方法のひとつといえます。中には、「痛みを伴わない出産で赤ちゃんに愛情を持てるのか」という人がいますが、決してそんなことはありません。

どのような分娩方法を取っても、出産はママも赤ちゃんも命がけ。大切なのは、信頼できる病産院を選び、理解すべきリスクをきちんと理解することではないでしょうか。

※参考文献:日本産科麻酔学会(JSOAP) 無痛分娩Q&A

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