【医師監修】妊婦は膀胱炎になりやすい!症状と治し方、薬は飲める?

「妊婦は膀胱炎になりやすい」という話を聞いたことはありませんか?もともと膀胱炎は男性よりも女性がなりやすく、妊婦さんも多くかかる症状です。妊婦さんが膀胱炎になるとどのような症状が現れるのでしょうか。また、気になる妊娠中の治し方や薬についてもご紹介します。

妊婦もかかりやすい「膀胱炎」とは?

お腹を抱え立っている妊婦の女性

そもそも膀胱炎とはどのような病気なのでしょうか。膀胱は尿を溜めておくための袋です。そこに尿道から細菌が侵入してきて、膀胱が炎症を起こす状態を膀胱炎といいます。

男性は尿道が15cmほどあるのに対して、女性は3~4cmと尿道が短いため、細菌が膀胱に侵入しやすく膀胱炎になりやすいといわれています。さらに、女性の体は尿道口と肛門の場所が近く細菌が侵入しやすいことも、膀胱炎にかかりやすい背景にあります。

妊婦の膀胱炎の症状は?

膀胱炎によって不調を感じている妊婦の女性

膀胱炎といっても、軽いものから重度の膀胱炎まであるので、人によって症状は様々です。

特に妊婦さんは、非妊娠時とは違った体調の変化が多く見られるため、自分が膀胱炎になっているかどうか、判断がつきにくいかもしれません。症状を悪化させないためにも、以下のような不調や違和感を感じたら医師に相談するようにしてください。

膀胱炎にかかるとよく見られる症状例

  • 排尿したはずなのに残尿感がある
  • 頻尿になる(しかし、トイレに行っても尿が少ししか出ない)
  • 排尿時に「ツーン」とした痛みやヒリヒリしたような痛みがある。下腹部痛がある
  • 血尿が出る
  • 尿が白く濁る
  • 発熱する
  • キツイ匂いのする尿が出る

頻尿や下腹部痛などは、妊娠初期症状と似ているため、とまどう妊婦さんも多いかもしれません。しかし残尿感を感じたり、頻尿でトイレに行っても少量の尿しか出ない、というのは膀胱炎のよく見られる特徴なので覚えておきましょう。

また、軽い膀胱炎の中には無症状のケースもあります。自覚がないまま、妊婦健診の尿検査によって、初めて膀胱炎であることがわかったというケースもあるようです。

膀胱炎が悪化した場合

膀胱炎の症状の中でも、特に血尿や尿の白濁などの症状が出たときは、膀胱炎がすでに悪化してしまっている可能性があります。早めに病院を受診してください。

膀胱炎を放っておいて未治療のままにしておくと、症状が悪化し、膀胱→尿管→腎盂とさらに細菌が逆流して、腎盂腎炎(じんうじんえん)という病気になることも。

腎盂腎炎になると、膀胱炎の症状に加えて、高熱や吐き気、背中の痛みなどが出ます。膀胱炎自体はお腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼすことはありませんが、妊婦さんが腎盂腎炎で腎機能が低下すると、早産や流産のリスクも出てきます。

妊婦が膀胱炎になりやすい原因は?

原因 ? why

原因1.免疫力の低下

妊娠中は免疫力が低下しており、細菌に対する抵抗力が弱くなっています。特に妊娠初期は免疫力が低下しているため、注意が必要です。

原因2.子宮の圧迫

妊娠すると子宮が大きくなり膀胱を圧迫します。膀胱を圧迫すると、トイレに行く回数が増える(頻尿になる)ため、どうしても尿意を我慢してしまう妊婦さんが多くなります。尿意を我慢していると膀胱炎になりやすくなります。

原因3.おりものが増える

妊婦さんは非妊娠時に比べておりものが多くなるため、陰部が不衛生になり、細菌が増えて膀胱炎にかかりやすくなります。

上記のような理由から、妊婦さんは妊娠初期~後期にわたって、非妊娠時の女性に比べると、膀胱炎になりやすい傾向があります。また、妊娠前に膀胱炎になったことのある人は再発しやすいので、特に注意が必要です。

妊婦が膀胱炎になったときの治し方と薬

産婦人科で妊婦健診を医師の診察を受ける女性

膀胱炎が疑われる場合、まずはかかりつけの病産院を受診してください。また、妊婦健診で膀胱炎が発覚することもあるため、妊婦健診は欠かさず受診することが大切です。

膀胱炎の検査や一般的な治し方の流れについてご紹介します。

尿検査

膀胱炎の検査は尿検査でわかります。妊婦さんは妊婦健診のたびに尿検査をおこなうため、そのときに尿潜血や尿蛋白が陽性になると膀胱炎が疑われます。その後、治療に使う薬を決めるために、培養検査がおこなわれる場合があります。

処方薬の内服

膀胱炎と診断されると、一般的には抗生物質の薬が処方されます。妊娠中に抗生物質を飲んでも大丈夫なのかと不安に思うかもしれませんが、医師がお腹の赤ちゃんには影響のない薬を処方してくれるため、安心してください。通常であれば、数日薬を飲めば膀胱炎の症状が治ってきます。

再検査

症状が治まったら、再度尿検査をして、膀胱炎がきちんと治っているかどうか確認します。膀胱炎を引き起こしている細菌の種類によっては、抗生物質が効かないケースもあります。その場合は、違う種類の薬が処方されます。

膀胱炎は再発する恐れもあるため、自己判断で薬を止めずに、処方された薬はきちんと飲み、治癒したかどうかを確認することが大切です。また、病院で処方された薬は赤ちゃんに影響がないものなので安心ですが、医師の許可なく市販薬を飲むことはやめましょう。

また、治療中に医師から指示されることもありますが、積極的に水分を摂るようにし、膀胱内の細菌を排出することも大切です。

妊婦が膀胱炎を予防するには?

トイレ

こまめな水分補給

膀胱炎の予防には、意識的に水分を摂るようにしましょう。

妊娠中はむくみやすくなったり、またトイレが近くなるのを避けるために、水分を控えてしまう妊婦さんがいます。しかし、膀胱に潜む細菌を体外に出すためには、こまめに水分を摂り、尿として排出するようにしましょう。

トイレは我慢しない

水分を摂った分、トイレは我慢しないようにしましょう。妊娠すると、子宮が圧迫されてトイレに行く頻度が増えるものです。お腹が大きくなってくると、動くのもつらいですよね。

それでも、面倒だと思わずに、こまめにトイレに行くことが膀胱炎予防に効果的です。尿意を我慢して膀胱の中に溜めておくと、細菌が繁殖する原因になります。

トイレットペーパーは前から後ろへ拭く

トイレのとき、トイレットペーパーで陰部を拭く際は前から後ろに向かって拭くようにしましょう。肛門周りには大腸菌が潜んでいます。少しでも尿道に細菌を近づけないようにするには、前から後ろへ拭く方法が基本です。

おりものシートはこまめに交換する

おりものシートはこまめに取り替えましょう。妊娠中は、おりものが増えるため、おりものシートを使用する妊婦さんが多いです。

同じおりものシートを長時間つけ続けると細菌が繁殖してしまうので、こまめに取り替えて清潔な状態を保つようにしましょう。ショーツも風通しのよい素材にするとなおよいですね。

ストレスを軽減する

妊娠中は十分な睡眠と栄養を摂り、免疫力を上げるようにしましょう。膀胱の中には普段から細菌が存在するものですが、免疫力が高く、健康な人は膀胱炎にはなりません。

まずは規則正しい生活をして免疫力アップを目指しましょう。ストレスも免疫を下げる原因になります。妊婦さんは出産に向けて様々な不安があるかもしれませんが、上手にストレスを発散してくださいね。

膀胱炎を予防して健康な妊婦生活を

リラックスした表情でお腹の赤ちゃんに話し掛ける妊婦の女性

妊婦さんは膀胱炎になりやすいもの。膀胱炎が疑われる場合は、早めにかかりつけの産婦人科に相談するようにしましょう。

膀胱炎は多くの妊婦さんがかかる病気であり、決して恥ずかしいことではありません。健康で元気に赤ちゃんの出産を迎えるためにも、膀胱炎の予防と早期治療を心掛けましょう。

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