【医師監修】葉酸サプリは授乳中も必要?1日の摂取量はどのくらい?
葉酸サプリは授乳中にも必要?
妊活中~特に妊娠初期の摂取が推奨されている葉酸サプリ。葉酸は、妊娠初期に不足すると、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクが高まることでも有名な栄養素です。
厚生労働省からも、妊娠中は食事からの葉酸摂取に加えて、サプリから1日400μgを摂ることがすすめられています(※1)。
ただ、無事に健康な赤ちゃんが生まれたら、産後や授乳中にはピタリと葉酸サプリを止めてしまう人も多いでしょう。実は、授乳中やそれ以降も葉酸サプリを飲み続けることでママ自身の身体によい理由があるのです。
授乳中に葉酸サプリの摂取をおすすめする理由
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では(※2)、授乳婦の葉酸摂取について、通常時より+100μg/日の付加量を推奨しています。どのような効果が期待できるのでしょうか。
1.造血効果がある
葉酸は「造血のビタミン」とも呼ばれることもあり、ビタミンB12と共に赤血球をつくったり、たんぱく質を合成するために必要不可欠な栄養素です。葉酸が欠乏すると、巨赤芽球性貧血を発症するリスクが高まります。
産後は出産による出血のため、貧血になることも多く、造血効果のあるビタミン類は意識的に摂りたい栄養といえます。
2.産後の回復をサポートする
葉酸は細胞分裂を促し、新陳代謝や成長をサポートする作用があります。そのため、妊婦や成長期の子供に大切な栄養素といわれています。
出産は体にかなりのストレスがかかります。葉酸の摂取は、ママの体の回復をスムーズにしてくれる可能性があります。
3.葉酸欠乏症の予防
妊娠中や授乳中に限らず葉酸が欠乏すると、巨赤芽球性貧血を引き起こしたり、動脈硬化のリスク要因となったり、口内炎や肌荒れが現れる場合があります。
一般的な食生活を送っていれば、葉酸が過度に不足することはないと考えられていますが、葉酸は水溶性のため、調理をした食事では栄養が失われやすい特徴も持っています。
特に、妊娠中や授乳中は、食事だけでなく、葉酸サプリを活用して効果的に摂取するのがおすすめです。
授乳中の葉酸サプリの摂取量は1日どのぐらい?
授乳中に飲む1日の葉酸サプリの量は、妊娠中と同じでよいのでしょうか?
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると(※2)、妊婦には1日480μg(+240μg/日の付加量)の摂取が推奨されていますが、授乳婦には1日340μg(+100μg/日の付加量)の摂取が推奨されています。
推奨量 | |
成人女性 | 240μg/日 |
妊婦 | +240μg/日 |
授乳婦 | +100μg/日 |
妊娠中よりも必要な葉酸摂取量は減るものの、授乳中にも付加量が推奨されており、産後も引き続き意識的に摂りたい栄養素であることがわかります。
授乳中に葉酸サプリを摂りすぎるとどうなる?
葉酸サプリが授乳中にも大切であることがわかりましたが、サプリは手軽に摂取できる反面、過剰摂取に繋がる可能性があります。
葉酸を過度に摂り過ぎると、発熱、吐き気、頭痛、むくみ、不眠、じんましんなどの副作用の心配があります。
妊娠中や授乳中を問わず、成人女性の葉酸耐容上限量は1日900~1000μgとされています(※2)。
葉酸サプリは商品によって、「1日1粒」「1日3~4粒」など、1日に飲む目安量が異なります。商品パッケージを確認し、目安量を超えないように気を付けましょう。
授乳中に摂りたい葉酸以外の栄養
授乳中には、葉酸以外にも積極的に摂ってもらいたい栄養素があります。次の栄養素を意識しながら、できるだけ栄養の偏りのない、バランスの整った食事を心掛けましょう。
鉄分
産後は出産に伴う出血のため貧血になりがちです。疲れやすい、顔色が悪いなどの症状も貧血が原因かもしれません。
鉄欠乏による貧血の予防には、鉄分を多く含む食べ物を意識的に食べましょう。鉄分はレバーや小松菜などに多く含まれています。サプリを飲むときは、「ヘム鉄」と書かれているものが体内に吸収されやすいのでおすすめです。
カルシウム
食生活が豊かな現代でも、女性に不足しがちな栄養素がカルシウムです。
カルシウムは神経機能を調整する働きがあるため、イライラ解消にも効果が期待できます。慣れない育児や授乳に追われて精神的に疲れているママには、積極的に摂ってもらいたい栄養素です。
カルシウムは、煮干しや桜えび、小松菜、ほうれん草に多く含まれています。
妊娠中・授乳中に摂りたい栄養を満たせるサプリもおすすめ
妊娠中や授乳中に意識して摂りたい葉酸、鉄分、カルシウムは、食品だけでは十分に摂るのが難しい場合があるため、サプリで補うのが有効です。
妊婦・授乳婦向けのサプリには、葉酸だけでなく、ビタミン、ミネラル、鉄分、カルシウムなど、妊娠中~産後におすすめの栄養が一緒になったものも多く販売されています。
栄養バランスを考えたり、何種類ものサプリを飲むのが大変な場合は、そういったサプリを取り入れるのもおすすめですよ。
※1 参考文献:厚生労働省 e-ヘルスネット 葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果
※2 参考文献:厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2015年版)