【医師監修】妊婦の体重管理の方法!妊娠中の体重増加はいつから?理想のペースは?
妊婦の体重増加の理想値は?まずはBMIをチェック!
妊娠中に増える体重の内訳は、赤ちゃんの体重が約3~4kg、胎盤が約500g、羊水の重さが約500g。加えて、母体の子宮、乳房、血液、水分、脂肪の増加で約3~8kg、合計で妊娠中に体重が約7~12kgが増加します。
この数字はあくまで平均値なので、妊婦さんのもともとの体型によって体重増加は異なります。
まずは、自分のBMI(ボディ・マス・インデックス:肥満指数の判定式)を調べ、妊娠中の増加体重の目安を確認してみましょう。
BMIの調べ方
妊娠前の体重(kg)÷[身長(m)×身長(m)]
(例:身長160cm、体重48kgの場合⇒48÷(1.6×1.6)=18.75)
- 低体重(やせ):BMI18.5未満
- 普通:BMI18.5~25.0未満
- 肥満:BMI25.0以上
妊娠中の推奨体重増加量
厚生労働省による「妊娠期の至適体重増加チャートについて」では、妊娠中の推奨体重増加量を下図のようにしています。
BMI | 推奨体重増加量 |
低体重(やせ) | 9~12kg |
普通 | 7~12kg |
肥満 | 医師に要個別相談 |
妊婦の体重増加はいつから?
実際に赤ちゃんの体重は、下図のようなペースで増えていきます。
妊娠月数 | 赤ちゃんの体重 |
2ヶ月 | 約2グラム |
3ヶ月 | 約20グラム |
4ヶ月 | 約100グラム |
5ヶ月 | 約200グラム |
6ヶ月 | 約350グラム |
7ヶ月 | 約1000グラム |
8ヶ月 | 約1800グラム |
9ヶ月 | 約2300グラム |
10ヶ月 | 約3000グラム |
体重増加として現れてくるのは、個人差があるものの、妊娠16週(5ヶ月目)以降。この頃から、脂肪がついてきて体つきがふっくらとしてきます。
妊娠初期の15週(4ヶ月)までは体重が増加する必要はありませんので、体重管理をおこない、太り過ぎないよう注意してください。
一般的に、体重が増えやすいといわれているのが、つわりが治まり食欲が高まるとき、産休に入った後、また臨月は急激に太りやすいといわれています。
1週間の体重増加ペースは200~300グラムまでを目安に考えましょう(BMI値が肥満の人は別途医師に相談してください)。週に500グラム以上増えると、妊娠高血圧症候群などのリスクが高まります。
妊婦に体重管理が必要な理由とは?
妊娠中は赤ちゃんに栄養を与えるため、分娩に必要なエネルギーを蓄えるため、そして授乳の準備のために、脂肪が蓄積しやすい体質になります。
さらに、つわりが落ち着くと食欲が旺盛になり、丸みを帯びた体型になっていくのは自然なこと。
しかし、何も考えずに食べ続けたり、偏食をしていると、体重が右肩上がりに…。最終的に、上記でご紹介した推奨増加体重を超えてしまう可能性もあります。
一方で、最近では、BMI値が低体重(やせ)や普通の妊婦さんでも妊娠中の体重増加が7kg未満、過度なダイエットなどから、痩せ過ぎなママが増えていることも問題になっています。
妊娠中は、体重が増えすぎても、痩せ過ぎても、双方にリスクが高まります。お腹の赤ちゃんの健康と安全な出産のためにも、きちんと体重管理をおこなうことが大切です。
1.妊娠中に体重が増えすぎると起こり得るリスク
1-1 妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)
妊娠高血圧症候群は、高血圧や蛋白尿、むくみなどの症状がでる疾患です。悪化すると赤ちゃんの健康にも影響を与えます。
また、重症化すると胎児発育遅延や常位胎盤早期剥離、子癇などの合併症を併発する可能性があります。
1-2 妊娠糖尿病
妊娠中の血糖値が上がってしまう病気。4000グラム以上の巨大児になってしまう可能性や、早産、上記の妊娠高血圧症候群が起こりやすくなります。
1-3 難産
産道に脂肪がついてしまい、赤ちゃんが通りづらく難産になるリスクが高まります。帝王切開になる可能性も。
1-4 腰痛
体重が増えすぎるに伴いお腹も大きくなるので、足腰に負担がかかるので、腰痛や膝痛を抱えがちに。
1-5 妊娠線ができやすい
お腹が大きくなるほか、おしり、太もも、二の腕なども大きく太ることで、妊娠線ができやすくなります。
1-6 産後ダイエットが成功しにくい
妊娠中に太ることは仕方のないことですが、必要以上に体重や脂肪が増えると、産後に体型を戻すのが大変に。ダイエットに時間がかかったり、そのまま元の体型には戻れない可能性も。
2.妊娠中に体重が痩せ過ぎていることで起こり得るリスク
2-1 低体重児
妊娠中に痩せすぎていると、お腹の赤ちゃんに十分な栄養が届かず、2500グラム未満の低体重児になる可能性が高まります。
2-2 流産、早産
十分な栄養が足りないと、流産や早産のリスクが高まります。
2-3 赤ちゃんが生活習慣病になるリスク
妊娠中に十分な栄養が送られないと、赤ちゃんが成人した後、糖尿病や高血圧などの生活習慣病にかかる確率が高くなります。
2-4 産後に体力が戻りづらい
妊娠中に痩せすぎていると、お産を乗り切る十分な体力が足りないほか、産後も体力が戻りづらく、赤ちゃんのお世話や母乳に影響が出る可能性があります。
妊婦の体重管理の方法は?
毎日決まった時間に体重を計る
体重は1日の中でも変動するので、毎日決まった時間、決まった条件で計測するようにしましょう。
朝起きてトイレに行った後など、朝食前に体重計に乗るとよいかもしれません。朝いちばんに体重を把握することで、その日から食事や活動内容を調整しやすくなります。
毎日体重を測っているだけでも、自然と体重管理の意識を持てるようになりますよ。
朝・昼・晩バランスのよい食事を摂る
昔は「妊娠中は赤ちゃんの分も2人分の食事を食べる」といわれていましたが、現代の食事の栄養を考慮すれば、無理に食事量を増やす必要はありません。
妊婦さんにとって大切なのは量よりも栄養バランスです。朝、昼、晩、バランスのよい食事を摂るように気を付けましょう。
一品で完結するような食事内容よりも、いろいろな食材を少しずつ食べるとよいですね。妊娠中はむくみやすいので、塩分は控えめの食事を心掛けてください。
また、妊娠中は便秘になりやすいので、食物繊維の豊富な食事を意識しましょう。便秘がつらいときは、産婦人科で薬を処方してもらえますので、かかりつけの医師に相談してみてください。
適度な運動
妊娠中の適度な運動は、体重の太り過ぎを防ぐだけでなく、ストレス解消や腰痛予防など様々なメリットがあります。
医師から安静にするよう指示がなければ、軽いウォーキング、マタニティヨガ、マタニティスイミングなど無理のない範囲で体を動かしましょう。
掃除や洗濯など、できるだけ家事をおこなうだけでも効果的ですよ。
体重管理アプリを使う
妊娠中は何をするにも面倒になってしまうことが。そんなときに便利なのが妊婦さん向けの体重管理アプリ。無料のアプリほとんどなので、気軽にインストールできます。
体重管理だけでなく、出産までのカウントダウン、妊娠・出産に関するお役立ちコンテンツなど情報が得られます。
妊婦の体重管理における注意点
いくら体重が増えすぎているからといって、過度な食事制限をしたり、激しい運動をしたり、無理なダイエットをしたりすることはやめましょう。また、いくら体重が痩せすぎているからといって、いきなり食べる量を増やしたり、脂っこい食べ物を食べることも体によくありません。
体重の増減は、妊婦健診で医師や助産師から定期的に指導を受けるため、それをもとにコントロールをしていきましょう。
体重管理をうまくおこなうコツは、神経質になり過ぎないこと。妊婦さんの体は、妊娠前と同じようにはいきません。
食べ過ぎた日があっても、2・3日で調整するくらいのおおらかな気持ちを持つことが大切です。心配なときは、医師に相談してみてくださいね。
※1 参考文献:「妊娠期の至適体重増加チャート」について
関連キーワード
妊娠中の健康・体調変化