妊婦のダイエット!成功へ導く食事・運動・体重管理の方法
妊婦にもダイエットは必要?
ただ痩せたいだけのダイエットの必要はない
妊婦さんは食事量や食事内容が変化すること、脂肪が蓄積しやすい体になること、また運動量が減ることから、赤ちゃんの体重や胎盤などの重さ以上に太ってしまいがちに。
だからといって、妊婦さんは「見た目がきれいでいたいから」「痩せたいから」といった単純な理由でダイエットをおこなうものではありません。
妊婦さんの体重が太り過ぎてしまうと、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、難産になるなどの危険があります。妊婦さんのダイエットは、見た目よりも赤ちゃんや母体の健康を優先にして計画的におこなうことが大切です。
一方で、過度なダイエットなどで痩せすぎてしまうと、赤ちゃんが低体重児になる可能性、流産や早産のリスクが高まる可能性も。
そのために、妊婦さんの理想的な体重増加の目安を知ったうえで、ダイエットが必要かどうかを判断しましょう。
妊娠中の体重増加の目安
妊娠中に増えてもよいとされる体重は、妊婦さんのBMIによって異なります。BMIとは「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で算出する肥満度の判定基準です。
BMIが18.5未満(痩せ型)の場合は10~12kg、BMIが18.5~25未満(標準体型)の場合は7~10kg、BMIが25以上(肥満)の場合は5~7kgが体重増加の目安とされています。
ただし肥満度が高い人は、かかりつけの医師に相談して個別に指導を受ける必要があります。
この基準を大きく上回って体重が増えてしまう妊婦さんは、ダイエットが必要と考えてよいでしょう。
【妊娠時期別】妊婦のダイエット方法
10ヶ月の妊娠期間には、大きく分けて、妊娠初期(16週未満)、妊娠中期(16~28週未満)、妊娠後期(28週以降)の3つの期間があります。
赤ちゃんの成長に伴い妊婦さんの身体も変わってくるので、適したダイエット方法をおこなうことが必要です。
1.妊娠初期(16週未満)のダイエット
妊娠初期は、まだまだ体重は増えなくてもよい時期です。必要以上に食事量を増やすようなことはやめましょう。
妊娠初期は安定期前の不安定な時期なので、無理なダイエットは禁物。つわりがピークの時期なので、食事については、制限を設けずに食べられるものを食べてください。調子がよい日は、できるだけバランスの取れた食事を心掛けましょう。
妊娠初期の妊婦さんは便秘になりやすいため、しっかり水分補給をして、食物繊維の多い食品も摂るようにしてください。繊維質の多い根菜類などの煮物もおすすめです。
妊婦さんの運動は、原則安定期以降にする方が望ましいですが、過度に安静にする必要はありません。できるだけ車を使わずに歩くなど、軽い運動を心掛けると、便秘解消に役立ちます。
2.妊娠中期(16~28週未満)のダイエット
妊娠中期以降は、つわりが治まり食欲が出てくるので、太りやすくなってきます。揚げ物や甘い物など、高カロリーな食品やお菓子は控えるようにし、ヘルシーな和食中心の食生活に切り替えましょう。
できるだけ間食しない方がベストですが、我慢のしすぎもストレスを抱える原因に。お腹が空いたときは、野菜のドライチップスやドライフルーツ、ナッツ類など、栄養価の高いおやつを選びましょう。
一般的なダイエットでも利用される、寒天ゼリーやこんにゃくゼリーは、ローカロリーなうえに、少ない量で満腹感を得られるのでダイエット中のおやつにぴったりです。
安定期に入ってからは、マタニティヨガやマタニティスイミングを始めるのもよいですね。妊婦さん同士、友達づくりにも有効で、ストレス発散にも繋がります。
決して体を鍛えることは目的ではないため、ストイックになりすぎないことが大切。楽しみながら運動しましょう。
3.妊娠後期(28週以降)のダイエット
妊娠後期はお腹の赤ちゃんが急成長します。妊婦さんの体重もぐんぐん増えていきます。
ただし、妊娠後期に過度に体重が増加すると、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)を引き起こしたり、難産になってしまうリスクがあります。妊娠後期は特に体重管理に気を付けましょう。
妊娠後期のダイエットは、引き続き和食中心に食事に気を付けつつ、無理のない範囲でできるだけ運動を取り入れます。
運動といっても、無理をすると、腰やひざに負担がかかってしまうことに。その場合は、丁寧に家事をするだけでも結構なカロリーを消費します。
子宮が大きくなると大腸を圧迫するため、便秘に悩まされる妊婦さんが増えます。便秘は腸内環境を悪化させ、基礎代謝を下げてしまうことに。水分と食物繊維を積極的に摂るようにして解消しましょう。
妊婦のやってはいけないダイエット!食事や運動の注意点
妊婦さんのダイエットは、あくまで健康的な体重管理をおこなうためのものなので、「痩せる」目的ではありません。お腹の赤ちゃんのためにも、次でご紹介するようなダイエット方法はやめましょう。
極端な食事制限
太りたくないからといって、食事量を減らすなど過度な食事制限をおこなうと、赤ちゃんに十分な栄養が届かない可能性があります。
食事内容に気を遣うことは必要ですが、量を減らす方法でのダイエットは避けましょう。
無酸素運動、競技など
短距離走や筋トレのような息を止める無酸素運動は、お腹の赤ちゃんに酸素を供給しにくく、よくないと考えられています。
そのほかにも、日本臨床スポーツ医学会の「妊婦スポーツの安全管理基準(※1)」によると、競技性の高いスポーツ、腹部に圧迫が加わるスポーツ、瞬発性のスポーツ、転倒の危険があるスポーツ、相手と接触するスポーツ、妊娠16週以降では仰向けになる運動は避けるようようすすめられています。
ダイエットサプリ
妊婦さんは、安易にダイエットサプリを飲むようなことは避けてください。ダイエットサプリには、糖分やカロリーをカットする働きがあり、妊娠中に必要な栄養素の吸収まで抑えてしまう恐れがあります。
妊婦さんがサプリや薬を飲むときは、事前にかかりつけの医師に相談してからにしましょう。
※1 参考文献:日本臨床スポーツ医学会 妊婦スポーツの安全管理基準
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