【医師監修】赤ちゃんのあざ(赤・青・茶・黒)は消える?病気?レーザー治療はいつから?
赤ちゃんのあざは生まれつき?
そもそも「あざ」というのは、皮膚の色素細胞や毛細血管の先天的な異常によって皮膚に色がついたように見えたり、皮膚の一部が盛り上がっている症状です。
あざの色によって、「赤いあざ」「青いあざ」「茶色いあざ」「黒いあざ」などと表現されることが多いです。あざができる場所、大きさ、数、色の濃さは種類によって様々です。
一般的に、あざは生まれつきの先天的な皮膚の病変です。生まれつきといっても、妊娠中のママの過ごし方が、あざの発生有無に影響するものではないので、責任を感じないようにしましょう。
赤ちゃんのあざが突然現れることはあるの?
赤ちゃんのあざは、生まれつきの色素細胞や先天異常が原因ですが、その症状が見た目に現われるタイミングは、あざの種類によって異なり個人差があります。生まれたときからあるあざと、生後数日~数ヵ月ごろに突然現れるものがあります。
また、ほくろも「黒あざ」の一種ですが、生まれつきほくろを持っている赤ちゃんもいれば、成長と共に数が増えていくこともあります。
赤ちゃんのあざは消えないの?治療法は?
赤ちゃんのあざは種類によって、成長するにつれて、自然に消えるものと消えないものがあります。あざ自体に痛みやかゆみはないため、自然に消えるあざは特別な治療はせずに、経過観察をするのが一般的です。
自然に消えないあざも、レーザー治療によって、薄くしたりほぼ消すことも可能です。あざの種類や症状によっては、手術によって除去することもあります。
また、心配なのは、あざの種類によっては病気に繋がったり、悪性化したりする可能性があることです。あざのサイズが突然大きくなったり、炎症が起きたりしていないか、慎重に経過観察をすることが大切ですが、まずは、どのようなあざでも、一度、皮膚科専門医を受診しておくと安心です。
赤ちゃんのあざのレーザー治療はいつから?安全なの?
自然に消えないあざにはレーザー治療が効果的です(あざの種類によって異なります)。レーザー治療は患部にレーザー光線を当てて、あざの原因になる異常な色素細胞や血管を壊して、あざを薄くする方法です。
レーザー光線は出血がなく痛みも少ないため、比較的小さな子供でも安心しておこなうことができます。
一般的には、できるだけ小さなうちにあざのレーザー治療をおこなうことがすすめられています。赤ちゃんの皮膚は薄いため、レーザーの光が届きやすく、より少ない負担で、高い治療効果を上げることができるためです。
大きくなってからレーザー治療をおこなうと、痛みを感じやすくストレスを抱えたりと負荷が大きくなることがあるようです。
しかし、あざの種類によって適切な治療のタイミングがあり、一概に「いつから」ということはいえませんので、まずは医師に相談しましょう。目安としては、少なくとも赤ちゃんの首が座るのを待ってからおこなった方が安心でしょう。
なお、小児の場合は、ほとんどのあざのレーザー治療が保険適用となります。
以下では、赤ちゃんに見られるあざの代表的な種類をご紹介します。
1.赤ちゃんの赤いあざ
赤ちゃんの赤いあざは真皮の毛細血管の異常が原因となっています。薄い色の赤いあざだと、赤らんでいるだけのようにも見えるので要注意。心配であれば一度病院で診てもらうようにしましょう。
1-1.苺状血管腫(乳児血管腫)
イチゴのように赤く、こんもりと隆起しており、表面がぼこぼこしている赤いあざです。乳児血管腫とも呼ばれます。
生後数日~2・3週間、遅くとも生後3ヶ月以内の赤ちゃんに発生します。
未熟な毛細血管が皮膚の表面で異常に増殖するのが原因です。毛細血管が増殖するメカニズムはまだ解明されていません。
苺状血管腫は生後6ヶ月~1歳頃には徐々に縮小していき、5~7歳頃には自然になくなることが多いです。しかし、一部にしわやたるみが残る場合もあります。
1-2.サーモンパッチ(正中部母斑)
新生児期~乳児初期の赤ちゃんのおでこの中央・眉間・上まぶた・鼻の下・上唇など、顔の中心部分にうっすら広がるようにできる赤いあざです。新生児の2~3割にみられる症状です。
あざの境目がわかりづらいので判別しにくいかもしれません。サケにできる赤い模様に似ていることから、サーモンパッチと呼ばれています。
皮膚表面の血管が増殖することにより起きますが、詳しい原因ははっきりとわかっていません。
お風呂上がりは血流がよくなるため、比較的サーモンパッチが目立ちます。大抵の場合、1歳半頃までに自然に消えていくケースが多いです。
ただし、中には残ってしまうサーモンパッチもあるため、その場合はレーザー治療が効果的です。
1-3.ポートワイン母斑(単純性血管腫)
赤ちゃんに生まれつきできる、平らな赤いあざが単純性血管腫です。顔を中心に全身に現われます。他のあざに比べて輪郭がはっきりしているのが特徴。
表皮のすぐ内側にある真皮の中で毛細血管が増加したことが原因です。
自然に消えることはあまりないと報告されているので、早めのレーザー治療で対処します。なお、目の周りにできたポートワイン母斑は、視力障害やてんかんをきたす可能性があるため、早めの治療をおこなう必要があります。
1-4.ウンナ母斑
後頭部やうなじにできる赤いあざ。赤ちゃんの1割程度にあるといわれています。
自然に消えにくく約半数の人が残ってしまうためレーザー治療が有効ですが、髪で隠れる部分にできることから、そのままにしておく人も多いようです。
2.赤ちゃんの青いあざ
青いあざは、表皮の一番深い部分のメラニン色素が何らかの原因で増えて、青く見える症状です。大人に青いあざがあると痛そうにみえますが、赤ちゃんには痛みやかゆみはないため、心配しなくても大丈夫です。
2-1.蒙古斑
黄色人種である日本人の赤ちゃんにはほぼ全員に見られる、腰やおしりに見られる青いあざの症状。赤ちゃんによって形や大きさ、数は様々です。
赤ちゃんの蒙古斑は「ケツが青い」という言葉も由来でもあります。蒙古斑は通常、5~6歳頃になれば自然に消え、特別な治療はしません。
2-2.異所性蒙古斑
蒙古斑の中でも、赤ちゃんの腕や足、お腹、胸などの、おしり以外にできる青いあざの症状が異所性蒙古斑です。薄いあざはある程度10歳頃までには自然に消えますが、大人になっても消えにくい場合もあります。
病気に繋がるあざではありませんが、目立つ場所にあると気になるかもしれません。あざを取り除くには、レーザー治療をおこないます。
2-3.太田母斑
太田母斑は赤ちゃんのおでこや目の周り、こめかみにできる青色と褐色が混ざった色のあざです。通常は顔の片側にできる傾向がありますが、まれに両側にできることも。
原因ははっきりとわかっていませんが、メラニン色素の異常によって引き起こされるといわれています。生後数ヵ月の赤ちゃんに生ずることが多く、生まれつきに存在することはほぼありません。
太田母斑は自然に消えることはありません。レーザー治療を定期的に複数回受けることでほぼわからなくなります。
3.赤ちゃんの茶色いあざ
青いあざと同様に、メラニン色素の異常繁殖が原因と考えられています。その細胞が青いあざよりも皮膚の浅い部分にあるために、茶色く見えます。
3-1.扁平母斑
赤ちゃんの全身に見られる平らな茶色いあざです。生まれたときからある場合と、生後にできる場合があります。約1~2割の赤ちゃんにあるといわれています。
また、赤ちゃんの頃は気が付かないほど薄く、成長と共に色が濃くなることがあります。
自然に消えることはありません。レーザー治療をおこないますが、治療後に再発するケースも。
3-2.カフェオレ母斑
輪郭がはっきりした楕円形の平らな茶色いあざです。扁平母斑が多数散在する状態をいいます。
生まれたときからある場合と、生後にできる場合があります。大きさは1cm以下の小さなあざから、20cmぐらいの大きなものまで様々。
カフェオレ母斑が体にたくさんあると、遺伝疾患の可能性があるため、早めに病院を受診しましょう。
4.赤ちゃんの黒いあざ
赤ちゃんにもっとも多く見られるあざで、ほくろも黒あざの一種です。
4-1.色素性母斑
色素性母斑メラニン色素をつくる細胞の増加が原因。平らなものや盛り上がったもの、毛の生えているものなど、形やサイズは様々です。
小さな「点」のほくろであれば様子をみて問題ないですが、大きなものほど悪性黒色腫に変化する可能性が高くなります。急に大きくなった、色が変わった、炎症しているなどの変化がみられたら、早めに皮膚科を受診しましょう。
赤ちゃんのあざは専門家に相談しよう
かわいい赤ちゃんにあざがあると、見た目に目立ってしまうので、かわいそうに思ってしまいますよね。児童館や保育園などで見かける、周りの赤ちゃんと違うところがあると、ついつい気になってしまうもの。
赤ちゃんのあざの中には、成長と共に自然に消えるものと消えないものがあります。消えないあざも、今はレーザー治療で薄く消すことは可能なので安心してください。
また、赤ちゃんのあざの中には病気の可能性を秘めているものがあります。気になるあざは、早めに専門家に相談しましょう。