赤ちゃんの発疹で注意した方がいいものは?症状や原因を知ろう【医師監修】
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赤ちゃんの発疹で注意した方がいいものは?
赤ちゃんの発疹の中で一番多いのは、おそらく湿疹でしょう。湿疹とは、様々な皮膚炎の総称で、乳児湿疹や蕁麻疹も発疹に含まれています。
乳児湿疹は、新生児~1歳頃までの乳児期特有の肌状態が原因で、新生児ニキビ、脂漏性湿疹、乾燥によるカサカサや赤いブツブツ、あせも、おむつかぶれなどが皮膚にできる症状です。乳児湿疹は1歳頃を迎えると自然に治まってくるのが特徴です。
赤ちゃんの発疹には、主に湿疹などの発熱を伴わない症状と、病気が原因となり高熱を伴う症状の2種類に大別されます。さらに、発疹が現れた場所や、発疹と併発する身体の異変によっても症状が異なります。
いずれの症状も、悪化したり長引く場合は、病院を受診することが必要です。発疹が起きたときの赤ちゃんの様子をよく観察し、医師に正しく伝えましょう。
1.湿疹(主に高熱を伴わないもの)
1-1 乳児湿疹
乳児湿疹の症状
生まれて間もない新生児から1歳までの赤ちゃんに発症する肌荒れ症状の総称。顔やお腹などに湿疹が見られ、かゆみやかさつきなども伴います。
新生児~生後2・3ヶ月頃は脂漏性湿疹といい、頭皮や眉毛部分に黄色い皮脂の塊やかさぶたができる症状がみられることがあります。
乳児湿疹の原因
新生児~生後2・3ヶ月頃までは過剰に分泌される皮脂による毛穴詰まり、生後3ヶ月以降は皮脂分泌量の減少による乾燥が主な原因です。
外的刺激から皮膚を守るバリア機能が未熟なため、食べこぼし、よだれ、鼻水などの付着も乳児湿疹の原因になります。
乳児湿疹のケア方法
赤ちゃんの肌を清潔に保つこと、またベビーローションなどで保湿することが大切です。保湿は1年を通して必要ですが、特に空気が乾燥する冬季はしっかり保湿しましょう。
乳児湿疹の注意点
スキンケアを習慣づけていたとしても、湿疹が治らない場合や慢性的に湿疹が起こる場合は、赤ちゃんがアトピー性皮膚炎を発症している可能性があります。
1-2 新生児ニキビ
新生児ニキビの症状
新生児の顔に現れるニキビです。赤みのあるニキビ以外にも、思春期ニキビと似た白ニキビなどの発疹が現れます。生後2・3ヶ月頃になると、自然に治っていきます。
新生児ニキビの原因
新生児~生後2・3ヶ月までは、ママから譲り受けたホルモンの影響により、皮脂分泌が過剰であることが原因です。分泌された皮脂が毛穴に詰まり、細菌に感染することで発症します。
新生児ニキビのケア方法
肌の清潔を保つことが必要です。1日に一度は、肌に優しいベビーソープを使って、皮脂汚れを取り除きましょう。大人のニキビと同様に、新生児ニキビを潰すのは厳禁です。
新生児ニキビの注意点
毎日スキンケアをしていても湿疹が長引く場合は、アトピー性皮膚炎に発展している可能性があります。
1-3 あせも
あせもの症状
赤ちゃんに起こりやすい肌荒れの一種。頭部や首筋、背中、脇、手足のしわになっている部分など、比較的汗をかきやすい場所にかゆみを伴う湿疹が現れます。
あせもの原因
赤ちゃんは汗をかきやすい反面、毛穴が未発達で汚れが詰まりやすいのが原因です。あせもは、垢や汗によって塞がれた汗腺から汗を出せなくなり、皮膚の下に溜まり炎症を起こすことで発生します。
あせものケア方法
皮膚を清潔に保つように心掛けましょう。赤ちゃんが汗をかいたらこまめに拭いたり、特に汗のかきやすい夏場はシャワーでサッと洗い流すのもよいでしょう。通気性がよく、快適に過ごせる衣類を着用させてください。
あせもの注意点
あせもによる湿疹はかゆみを伴うため、掻き毟ってしまうと化膿し黄色ブドウ球菌に感染し、とびひを引き起こす可能性があります。
赤ちゃんがあせもを掻き毟らないように、皮膚の清潔を保ったり、爪をこまめに切るなどのケアをしましょう。
1-4 虫刺され
虫刺されの症状
赤ちゃんが虫刺されに遭うと、大人よりもパンパンに赤く腫れやすいです。水ぶくれができてしまうことも。赤ちゃんはかゆみを我慢できないので、患部を掻き壊すと症状が悪化してしまいます。
虫刺されの原因
赤ちゃんは体温が高く、呼吸も早いことから虫刺されに遭いやすい特徴があるとも言われています。
虫刺されのケア方法
虫に刺されたら、まずは患部を流水で洗い流します。かゆみがひどい場合は冷やすのも効果的です。発疹が治らない場合は、市販の赤ちゃん用かゆみ止めを塗ったり病院を受診しましょう。
また、虫に刺されないように、日頃から虫除け対策を万全にすることも大切です。
虫刺されの注意点
虫刺されのかゆみで、赤ちゃんが患部を掻き壊してしまうと、とびひに発展する可能性も。ひどくさせないためにも、赤ちゃんの爪は短く清潔を保ちましょう。
1-5 とびひ
とびひの症状
とびひの初期症状は赤い発疹が見られる程度ですが、その後ふやけた水疱へと変化します。かゆみが強いのもとびひの症状のひとつです。
とびひの原因
細菌感染が主な原因です。あせもや虫刺され、ちょっとした傷によって細菌に感染し、とびひが発生することがあります。
とびひのケア方法
赤ちゃんの肌の清潔を保つことが大切です。発疹を掻き壊さないように、爪を常に短く保ちましょう。さらに、早々に病院を受診して医師に薬を処方してもらうことが必要です。適切に治療すれば、1週間程度でよくなります。
感染力が強いので、兄弟がいる場合はお風呂やタオル、衣類に注意してください。
とびひの注意点
とびひは感染力が強い発疹です。水疱が破れると全身にとびひが広がることもあります。
2.発疹(病気が原因、高熱を伴う症状)
2-1 突発性発疹
突発性発疹の症状
突発性発疹は、38度以上の高熱が3~5日続いた後、解熱と同時期に体幹部を中心に発疹が現れます。咳や鼻水の症状は少ないですが、軟便や下痢になることも。発熱を伴う割に赤ちゃんは機嫌がよいことが多く、哺乳も可能です。
突発性発疹の原因
突発性発疹の原因は、ヒトヘルペスウイルスの6型あるいは7型によるものです。飛沫感染(咳やくしゃみ)、経口感染(唾液)などが考えられます。感染経路や感染期間はまだわかっていない部分もありますが、感染力はそれほど強くありません。
突発性発疹のケア方法
まずは、病院を受診し医師に治療法について指示を仰ぎましょう。基本的には、安静にして赤ちゃんの免疫力を高めることが大切です。脱水症状を起こさないように、こまめな水分補給も必須です。
高熱が続く場合、医師との相談のもとで、解熱剤などが処方されることもあります。
突発性発疹の注意点
合併症の危険性は低いですが、まれに熱性けいれん、脳炎、肝炎、血小板減少性紫斑病などの病気を発症することがあります。
2-2 はしか(麻疹)
はしか(麻疹)の症状
数日38度前後の発熱続き、不機嫌、風邪症状が現れて、熱が少し下がった後、全身に発疹が現われて、また高熱が出ます。
発疹の出現同時期または1~2日前頃に、頬粘膜にやや隆起し約1mm径の白い小斑点(コプリック斑)が出現するのがはしか(麻疹)の特徴です。下痢や嘔吐、腹痛も伴います。
合併症が出なければ、発熱してから数日で熱は下がり、発疹も徐々に回復、8~19日程度でよくなります。発疹出現の数日前から出現後4-5日まで感染力があり、感染力も強いです。
はしか(麻疹)の原因
感染者の咳やくしゃみによる飛沫感染以外にも空気感染、接触感染もします。手洗いやマスクといった予防だけでは守りきれないことがあります。
はしか(麻疹)のケア方法
特効薬と呼べる薬はなく、基本的には、咳や熱に効果のある薬で対症療法をおこないます。病院を受診しましょう。
また、未然にはしか(麻疹)を防ぐためにも、予防接種を受けることが大切です。厚生労働省では、2006年度以降、1歳と小学校入学前の1年間の2回の予防接種を推奨しています。
はしか(麻疹)の注意点
はしか(麻疹)の合併症としては、肺炎と脳炎が代表的で、特に注意が必要です。
2-3 風疹
風疹の症状
発疹と発熱、リンパ節の腫れが生じます。臨床症状だけで診断するのはとても難しい病気です。
風疹の原因
風疹ウイルスによる急性の発疹性感染症です。くしゃみや咳による飛沫感染、風疹ウイルスが付着した物を触った手と目・鼻咽頭の粘膜が接触する接触感染があります。
風疹のケア方法
基本的には赤ちゃんに水分補給を十分にしつつ、無理をさせないことが必要です。合併症が発症しなければ、比較的治りが早い症状。熱が高い場合は、医師の判断のもと、解熱剤が処方されることがあります。
はしか(麻疹)と同様に、1歳と小学校入学前1年間について、予防接種の2回接種制度が導入されています。
風疹の注意点
感染力ははしか(麻疹)や水ぼうそうよりも強くはありませんが、稀に脳炎や血小板減少性紫斑病などの合併症が起こる可能性があります。
2-4 水ぼうそう
水ぼうそうの症状
冬~春にかけて流行することが多く、2週間程度の潜伏期間を経てかゆみの強い水疱が特徴的です。発疹の出現場所は赤ちゃんの胸やお腹、背中などです。赤ちゃんによっては38~40度もの高熱が伴うことがあります。
水ぼうそうの原因
水ぼうそうを起こすウイルスの飛沫感染や接触感染が原因です。
水ぼうそうのケア方法
対症療法や抗ウイルス療法によって治療します。具体的には、細菌感染を予防する抗生物質や水ぼうそうのかゆみを軽減する薬の塗布、水ぼうそうを軽い症状で抑える抗ウイルス薬の服用などです。
感染力が高いため発疹には直接触らないようにし、赤ちゃんが着用している衣類は定期的に変えることが必要です。
水ぼうそうの注意点
発疹がかゆいと、無意識のうちに赤ちゃんが掻いてしまい発疹を潰してしまうことがあります。爪は常に短くしておきましょう。
2-5 手足口病
手足口病の症状
3~5日ほどの潜伏期間を経て、口の中や足の裏側・手のひらに発疹が現れます。7月をピークに、夏季に多い発疹です。頭痛や吐き気、けいれん、38度ほどの高熱などが見られることもあります。
手足口病の原因
エンテロウイルス、コクサッキーウイルスの一種によるものです。飛沫感染や接触感染などが原因です。
手足口病の治療法
症状を軽くする治療がおこなわれますが、一般的には1週間もすれば症状は回復に向かいます。口内にできた発疹の痛みが強い場合は、医師の判断のもとで痛み止めが処方されることがあります。
手足口病の注意点
赤ちゃんがウイルスに感染してから、およそ1ヶ月は便の中にウイルスが存在しているため、おむつ替えの際は十分気をつけてください。
2-6 蕁麻疹(じんましん)
蕁麻疹(じんましん)の症状
突然赤くボコボコと盛り上がった発疹が出現します。発疹は強いかゆみを伴うのが特徴で、一般的には数分~数時間程度で消えます。ただし、1日~数日発疹が続くケースもあります。
食物アレルギー等による蕁麻疹(じんましん)は、発熱を伴わないケースがほとんどです。
蕁麻疹(じんましん)の原因
原因ははっきりと確定できないことが多いですが、大半は食物や薬などのアレルギーが原因となっている場合が多いです。一般的に蕁麻疹(じんましん)自体が原因で発熱はしません(症状によって異なります)。
蕁麻疹(じんましん)のケア方法
蕁麻疹(じんましん)が出ても、赤ちゃんの機嫌がよく元気であれば、自宅で様子を見てもよいでしょう。ただし、心配な症状がみられる場合やアレルギーが考えられる場合は、病院を受診しましょう。
蕁麻疹(じんましん)の注意点
アレルギーが原因で蕁麻疹が出た際で、呼吸が苦しそうだったり、ぐったりしている時などはすぐに救急車を呼んでください。
赤ちゃんに発疹が出たらまずは落ち着いて対処しよう
赤ちゃんに突然発疹が現われても、まずはママ・パパが落ち着いて対処しましょう。発疹は何かしらの病気の予兆である可能性もあるため、初期症状がみられたら、赤ちゃんをよく注意深く観察してください。
もちろん、発疹の原因や治療法については、素人が安易に判断できるものではありません。特に、上で紹介した病気が原因だったり、高熱を伴う発疹の場合、原因不明の発疹が出た場合は、病院で医師に相談しましょう。