【助産師監修】産褥体操とは?産後1日目から4週目までのやり方
妊婦さんや出産を経験したママであれば、産褥体操を一度は耳にしたことがあるでしょう。無理ができない産褥期に、産後の身体の回復を促す目的で行われる簡単な体操です。具体的なやり方を知ってぜひトライしてみてくださいね!
産褥体操とは? どんな効果がある?
産褥体操とは、妊娠、出産を経て変化した女性の身体の各機能の調子を整え、回復を促すことを目的におこなう体操のことです。
産褥体操は身体に異常がなければ、産後1日目から始めることができ、産褥期(さんじょくき)と呼ばれる出産直後から6~8週目までの期間において、無理のない範囲でおこないます。
産褥体操には、主に以下のような効果が期待できます。
- 筋肉の痛みを取り除き、疲労回復を促す
- 分娩時に伸びた腹壁や骨盤底筋の回復を早める
- 血液の循環をよくして、静脈内のうっ血や血栓を防ぐ
- 悪露を排出し子宮の回復を早める
- 内臓下垂、便秘を予防する
- 靭帯を強めて関節の屈曲性を増す
産褥体操はダイエットではない!無理のない範囲でやろう
出産を終えたママの身体は想像以上に疲れが溜まっています。会陰切開や帝王切開の傷が痛んでいたり、慣れない赤ちゃんの育児で寝不足が続いている時は、無理して産褥体操をしなくても大丈夫。マイペースに取り組みましょう。
また、産褥体操はあくまでも簡単な「体操」であり、産後の身体の「回復」を目的とします。
ダイエットのような痩身やボディラインの引き締めといった効果は期待できません。体形や体重を戻すための産後ダイエットは、産褥期を終えて身体が落ち着いてからスタートするようにしましょう。
産褥体操のやり方は?
産褥体操1日目
呼吸法
産褥体操1日目は、簡単な呼吸法から始めましょう。動きやすい楽ちんな服装に着替えてトライしてみましょう。
- 仰向けに寝たら胸に手を当てて、ゆっくりと息を吸ったり吐いたりします。
- 今度はお腹に手を当てて、同じく息を吸ったり吐いたりします。
- 寝たままで足首を曲げたり伸ばしたりします。
- 次に足の指だけを曲げたり伸ばしたりします。
- 最後に足首をくるくると回します。
★1~5を10回1セットにし、1日に2~3セットおこないます。
産褥体操2日目
頭を起こす体操
産褥体操2日目は頭の体操をします。1日目と同様に、まずは仰向けに寝ます。
- ひざは曲げないように気を付けながら、息を吸いつつ頭を起こします。
- 頭を起こしたら一旦を息を止めます。
- 息を吐きながらゆっくりと元の位置に頭を戻します。
★1~3を10回1セットにし、1日に2~3セットおこないます。
産褥体操3日目
骨盤と肛門の運動
産褥体操3日目は、骨盤や手足を使って徐々に体に負荷をかけていきます。まずは骨盤と肛門の運動です。
- 仰向けに寝てひざを折り曲げて立て、お腹に手を当てます。
- 肛門に力を込めて、絞めたり緩めたりを20回おこないます。
★1~2を1日に3回おこないます。
手足の運動
次は手足の運動です。
- 仰向けに寝て手足を伸ばします。
- 足を左右交互に上げたり下げたりします(このとき、下腹部に力が入るので、傷口が痛む場合は無理しないようにしましょう)。
- 次に、手の平を上にして、左右いっぱいに両腕を広げて、ひじを曲げないように注意しながら上に上げていきます。
- 両手の手の平を上部で合わせます。
- 両手を元の位置に戻します。
★1~5を5回1セットにし、1日に2~3セットおこないます。
産褥体操4日目~
手足と首の運動
産褥体操4日目からは手足と首の運動です。
- 仰向けに寝て片ひざを折り曲げて立てます。
- 立てた足とは反対側の手を上げながら、首を左右に動かします。
★1~2を10回1セットにし、1日に2~3回おこないます。
産褥体操10日目~
足と全身の運動
産褥体操10日目からは足を使って体を大きく使っていきましょう。
- 仰向けに寝て、片足を体と直角(90度)になるよう垂直に上げます。
- 交互に反対の足も同様におこないます。
- 次に、片足を上げた状態で、もう一方の足を揃えるように上げます。
- 元に戻して、反対の片足を上げた状態にし、もう一方の足を揃えるように上げます。
★1~4を10回1セットにし、1日に2~3セットおこないます。
産褥体操2週間目~
腰の運動
産褥体操2週間目からは腰の運動です。
- 仰向けに寝て両足のひざを曲げて立てます。
- 腰に力を入れて息を吸いながら上に伸ばすように上げます。
- 次に、息を吐きながら元に戻します。
★1~3を10回1セットにし、1日に2~3セットおこないます。
産褥体操3週間目~
前屈運動
産褥体操3週間目からは立って体を動かす運動も始めましょう。
- まっすぐ立ったら、前屈をして手の平が足首につくまでかがめます。
- ゆっくり元に戻します。
★1~2を10回1セットにし、1日2~3回おこないます。
おしりの運動
次はおしりの運動です。
- うつぶせに寝たら両手を顔の下で組み、両足を軽く開きます。
- 息を吸いながら両ひざを引き寄せるイメージで腰を上に上げます。
- 息を吐きながら元に戻します。
★1~3を10回1セットにし、1日2~3回おこないます。
産褥体操4週間目~
腹筋・背筋の運動
産褥体操4週間目からは全身を使って運動をしましょう。まずは上体を起こす運動です。
- 仰向けに寝たら、胸の上に手を軽く組んで乗せます。
- 両ひざを付けたまま、軽く折り曲げて立てます。
- 頭を軽く持ち上げ、少し置いたらゆっくり元に戻します。
- 次にうつぶせに寝ます。両手は自然に体に沿わせます。
- 頭と両足を同時に持ち上げて体を反らせます。
- 少し置いたらゆっくり元に戻します。
★1~6を10回1セットにし、1日に2~3回おこないます。
スクワット
次は簡単なスクワットをイメージした、下半身を使う運動です。
- 壁の前に立ち、両足を肩幅に開きます。
- 壁に背中を添わせたままで、ゆっくりと腰を下ろしていきます。
- つらくないところまで下ろしたら、ゆっくり元に戻します。
★1~3を10回1セットにし、1日に2~3回おこないます。
腰回りの運動
最後は腰回りの運動です。
- 両足を伸ばして座り、つらくないところまで開脚します。
- 両腕を上げて肩幅と水平になるようなイメージで伸ばします。
- 上半身を左右交互にねじります。
★1~3を10回1セットにし、1日2~3回おこないます。
※参考文献:この1冊であんしん はじめての妊娠・出産事典(竹内正人監修)
産褥体操は1ヶ月続けよう
産褥体操は上記でご紹介したように、最初は体の一部だけを使うような簡単な運動からスタートします。その後、徐々に全身を使う体操へと移っていきます。
産後の身体の回復を促すためにも、1ヶ月ほどは産褥体操を続けると効果的です。その後の骨盤矯正や産後ダイエットの足掛かりともなりますので、マイペースにやってみてくださいね。