不妊治療とは?検査、治療の流れ、費用、終了後の夫婦のあり方

晩婚化や妊娠・出産の年齢の上昇などにより、近年不妊に悩む夫婦が増えています。それに伴い、不妊治療を受ける人も増加傾向にあります。そこで「不妊治療とは」についてまとめました。不妊の原因、検査や治療の流れ、気になる費用や助成、終了するタイミングについてもご紹介します。

不妊治療とは?

不妊治療 夫婦

不妊治療とは、妊娠を希望しながらも不妊症の場合におこなわれる治療です。不妊症は、夫婦が2年以上性生活をおこなっているにもかかわらず、妊娠しない場合を指します。

しかし、現代では結婚年齢の上昇や妊娠・出産年齢の高齢化により妊娠する確率は低くなり、1年間で妊娠しなければ、不妊検査や不妊治療をおこなうことが一般的になってきています。

不妊症の原因とは?

疑問 ?

不妊症で悩む夫婦の数は年々上昇傾向にあります。年齢別にみると、特に不妊症の頻度は年齢が上がるほど上昇しています。この頻度の上昇は、妊娠や出産年齢の上昇により卵子の質が低下することが原因です。また、年齢が上がるほど流産率も高くなります。

夫婦(女性と男性)から見た妊娠の流れ

妊娠が成立するためには、女性も男性もそれぞれに過程があります。まず男性は、1.造精 2.輸送 3.貯蔵 4.射精、そして女性は、5.排卵 6.受精 7.卵の輸送 8.着床です。これらの過程において、ひとつでも異常があると妊娠することができず、不妊治療が必要になるのです。

女性不妊の原因

女性不妊の原因は、大きく4つに分類することができます。

1.排卵障害

排卵障害とは、卵巣から卵子が出ないことや卵子がうまく育たないことをいいます。卵子は脳の視床下部や下垂体の指令を受けて、ホルモンが正常に作用することで成長し排卵します。しかし、ストレスや肥満、体重減少、糖尿病、甲状腺機能異常などによりその作用が妨げられます。

また、排卵障害の原因として多いのが「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」というケース。たくさんの小さい卵胞が作られ、排卵する卵子が成長するのに時間がかかり、うまく排卵できないというものです。

2.卵管・腹膜因子

卵管は精子を通過させ、卵子をピックアップし受精、受精卵を運ぶという役割を果たしています。その役割のどこかに障害があることを卵管・腹膜因子といいます。原因には、子宮内膜症、手術既往による腹膜癒着や卵管閉鎖などがあり、中でも最も多い原因はクラミジア感染です。

3.子宮因子

子宮因子とは、着床の場である子宮の形態や機能の異常のことを指します。子宮筋腫や子宮奇形などが挙げられます。

4.頸管・免疫因子

頸管因子とは、子宮の頸管がポリープや炎症などにより精子を通過することができない状態になっていることをいいます。免疫因子とは、精子に対する抗体を持っていることで妊娠できない状態になっていることをいいます。

男性不妊の原因

男性不妊の原因は、造精機能障害や精子の通過経路障害、性機能障害、内性器の炎症による影響などが挙げられます。中でも、最も多いケースが造精機能障害で全体の80%~90%を占めています。

造精機能障害とは、精索静脈瘤や停留精巣、染色体異常や視床下部下垂体機能障害などにより、精子数が不足したり精子の運動機能が悪くなることをいいます。

不妊治療の検査方法とは?

不妊治療 検査 テスト

不妊治療を始めるにあたって、不妊症の原因を特定し平行しながら不妊治療を始める必要があります。

女性不妊の検査

1.基礎体温

自宅でできる不妊治療のひとつが基礎体温です。基礎体温から排卵を予測することは難しいですが、排卵有無の確定や黄体機能の推測、大体の周期を把握することで、他の検査の計画や不妊治療に実用することができます。

2.ホルモン検査

ホルモン検査は、不妊治療のタイミングをとる指標にも使われます。排卵期にはホルモンが特徴的な変化を示しますが、ホルモン値を採血で調べて、卵胞機能が正常に働いているかを確認します。

3.超音波検査

経腟超音波検査では卵胞の測定や子宮内膜の状況を診て、不妊治療でおこなう排卵のタイミングや採卵のタイミングなどを決定します。

4.頸管粘液検査

排卵期には頸管粘液(おりもの)が10cm以上伸び、量が増え「シダ状結晶」という特徴的な変化を示します。頸管粘液検査は、排卵の2~3日前に頸管粘液を採取し、精子が頸管を進入しやすい状態になっているかを調べます。

5.クラミジア検査

クラミジアは主に性行為によって感染します。自覚症状が乏しいため放置されやすく、それによって不妊や子宮外に妊娠する異所性妊娠の原因となります。

5.子宮卵管造影

子宮の入り口から造影剤を注入し、卵管の通過性があるか、卵管留水症の有無や子宮の形の評価をおこないます。

6.Huhner(フーナー)テスト

フーナーテストとは、射精された精子が頸管粘液を通過して子宮内に侵入できるかを確認する検査。妊娠過程の最初のステップを総合的に評価することができます。検査の時期は排卵期におこない、性交後9~24時間後の頸管粘液を採取し、精子の数や運動性を調べます。

男性不妊の検査

1.精液検査

病院で渡された容器に精液を採取し、顕微鏡で精子の性状を調べます。

2.染色体検査

染色体検査とは、不育症や男性の無精子症、乏精子症、女性の無月経の方、また体外授精を開始する前の夫婦を対象におこなわれる検査です。採血によってわかります。

不妊治療にかかる費用はどのくらい?

不妊治療 医師 検査

不妊症の原因は様々です。そのため、それぞれの原因に対する不妊治療がおこなわれます。基本的に、不妊治療の流れは、1.タイミング指導 2.人工授精 3.体外授精 4.顕微授精と簡便な治療から始めてステップアップしていきます。

また年齢によっては、ステップアップを早めることがあります。それぞれの不妊治療と費用についてご紹介します。

1.タイミング指導

不妊治療はタイミング指導から始めるのが一般的。タイミング指導は、超音波検査やホルモン検査などから排卵日を予測し、性交の機会を妊娠可能な機会に合わせることで妊娠確率を上げる方法です。

タイミング指導では、最も妊娠確率の高い排卵2日前から排卵直後までの性交が勧められます。卵管内での精子の生存期間は48~72時間、卵子の生存期間は8~12時間程度とされており、妊娠できる期間は限られています。また、妊娠確率を上げるため排卵誘発剤を使用し、卵巣を刺激させることもあります。

タイミング指導(不妊治療)にかかる費用の目安は5000円~1万円です。

2.人工授精

人工授精は、子宮の中に精子を注入することで受精の場に到達する精子数を増加させ、妊娠の確率を上げる不妊治療方法です。人工授精に使われる精子は、受精能力の高い精子を選別し濃縮して使用されます。

人工授精の適応は、タイミング指導を終了してからのステップアップの治療として、また乏精子症や精子無力症、性機能障害などの男性因子で不妊症の人です。卵管が閉塞している場合には適応になりません。

人工授精(不妊治療)にかかる費用の目安は、1周期で2万円~3万円です。

3.体外授精

採取した卵子を入れた培養液に調整精液を滴下し受精させ、培養し受精卵を子宮に移植することを体外授精といいます。卵子を採取するために、卵巣を刺激して複数の卵胞を発育させる必要があります。これにより卵巣が過剰に刺激されてしまうことや、採卵により女性の体への負担が大きくなります。

体外授精の適応は両側卵管の障害、重度の乏精子症、精子無力症、他の不妊治療を終了してからのステップアップなどがあります。

体外授精(不妊治療)にかかる費用の目安は、1周期で30万円~60万円です。

4.顕微授精

顕微授精は顕微鏡を用いて授精させる方法です。顕微授精の適応は、乏精子症や精子無力症、無精子症、受精障害など男性不妊に有効です。

顕微授精(不妊治療)にかかる費用の目安は、体外受精の値段にプラス5万~10万円かかるので、1周期で50万円近くやそれ以上かかります。

不妊治療に使える助成金とは?

数枚の一万円札

不妊治療はステップアップするほど費用がかかり負担となります。不妊治療の出費をカバーする助成金の制度がいくつかあるので、ご紹介します。

不妊治療の助成金「特定不妊治療費助成制度」

体外授精や顕微授精の不妊治療にかかるお金を一部助成する「特定不妊治療費助成制度」があります。

この制度は厚生労働省により平成28年4月に改定され(※1)、対象年齢を43歳未満と年齢制限が設けられました。また、年間の助成回数は制限なし、通算の助成回数は6回まで(ただし40歳以上で助成を開始した場合は3回まで)、通算の助成期間は制限なしとされました。

所得制限は夫婦合算の所得額が730万円、助成限度額は1回15万円(凍結胚移植<採卵をおこなわない>および採卵した卵が得られないなどのため中止したものについては1回7.5万円)です。

「特定不妊治療費助成制度」の申請は自分の住む自治体の窓口でおこなわれます。

不妊治療で助成金以外に受けられるもの

「特定不妊治療費助成制度」とは別に、住んでいる市区町村に不妊治療に対する助成制度がある場合があります。企業によっては、健康保険組合から不妊治療のお金が出る場合もあります。

また、不妊治療にかかった治療費も医療費控除の対象になるので、確定申告をすれば税金が戻ってくる場合もあります。領収証や交通費などを必ず控えておきましょう。

不妊治療終了後の夫婦のあり方とは?

不妊治療 終わり

不妊治療は、医師から終了の宣告をされることもあれば、夫婦自身で不妊治療の終了を決断するときもあります。不妊治療の終了を決断しても、少なからず諦めきれない気持ちや焦燥感などは残るもの。不妊治療終了後からの夫婦のあり方を、夫婦でよく話し合ってどのような人生を選択していくかを決めることも必要になってきます。

不妊治療を始める前に夫婦でよく話し合いましょう

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不妊治療とは、費用がかかるだけでなく精神的にも体にもダメージを受けやすいものです。そのため、不妊治療にどのくらいの期間をかけて(年齢も含め)、どこまでの治療をおこない、いつ終了するのか、費用はどこまでかけるのかを夫婦で話し合ってから不妊治療を始める必要があります。

また、不妊治療をおこなう上で、日頃の生活習慣の改善を心掛け、夫婦共に妊娠しやすい体づくりも必要です。夫婦の将来のためにも健康的な生活を送りましょう。

※1 参考文献:厚生労働省 新制度への移行措置について
※2 参考文献:一般社団法人日本生殖医学会 不妊症Q&Aよくあるご質問

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